「マンション節税」の節税スピードが変わる!?平成28年度税制改正 減価償却制度見直しの影響を考察
平成28 年度税制改正大綱では、建物附属設備及び構築物の償却方法について、定率法を廃止し、定額法に一本化することが盛り込まれてます。
そのことで、マンション投資がどう変わるのか。マンション投資における影響を解説します。
減価償却方法について、定率法廃止案が浮上
自民党および公明党がまとめた平成28 年度税制改正大綱(平成27年12月16日発表)では、法人実効税率引下げの財源の1 つとして、建物附属設備及び構築物の償却方法について、定率法を廃止し、定額法に1 本化することが盛り込まれてます。
そのことで、マンション投資がどう変わるのか。こちらのコラム(【本当に節税できるの?】 効果的な節税ができる人、できない人。)では、マンション投資が節税になる仕組みをご紹介しました。
不動産所得の必要経費として計上できるものには、減価償却費や、ローンを組んだ場合の支払い金利、その他税務上諸経費等があります。
この大綱が通れば、平成28 年4 月1 日以後に取得する建物附属設備及び構築物については、減価償却費の計算方法のひとつ、定率法が使えなくなります。
定額法・定率法の違い
減価償却とは、建物・車両等の資産(減価償却資産)についてその使用可能期間(耐用年数)にわたり、その資産の価値減少相当額(減価償却費)を費用計上することです。
マンション投資に限定してわかりやすくいうと、マンションの建物部分の購入費用を耐用年数で分割して、必要経費として計上することになります。
減価償却の方法を選択する際、現行では建物の付属設備については定額法と定率法のいずれか一方を選択することができますが、大綱どおりの税改正が実施された場合、平成28年4月1日以降に取得したマンションについては、定額法しか選択できなくなります。
減価償却制度見直しの影響は?
結論からいうと、定率法であれ、定額法であれ、最終的な減価償却の額そのものは変わりません。
ふたつの計算方法の違いは、償却スピードの違いです。
マンションの建物の付属設備の償却期間の15年のうち、定率法は始めの1~7年間は大きく償却されますが、後の8~15年間の償却額は定額法を選択した場合の2分の1の額になります。
定額法は毎年均一に償却されるので、申告の際に複雑な計算をする必要がなく、計算が楽になるというメリットも考えられます。
ただ、上の図でもわかる通り、どの年度をみても、定率法を選択したケースの方が累積償却額は上回ります。
償却スピードをふまえた投資計画を
今回の改正によって、今後、マンション投資の節税スピードが若干遅くなります
節税効果を期待してマンション投資をはじめる際は、この節税スピードをふまえて考えることをおすすめします。
知らないと損をする税金のこと。しっかり情報を察知して、有効に活用しましょう。