平成28年度税制改正で注目すべき5つのポイント 平成28年税制はこう変わる
そもそもなぜ税制改正大綱が注目されるのか?
昨年(平成27年)12月に税制改正大綱が閣議決定されました。
この税制改正大綱は、与党(現在では自民党及び公明党)が有識者による提言(税制調査会)を参考に閣議で決定されます。
そして税制改正大綱をもとに、翌年の通常国会(1月から150日間の会期)で、内閣が税制改正法案を提出し審議・可決されます。
与党内閣による法案ですので税制改正大綱の内容が可決され、税制が改正されると目されています。
平成28年度税制改正 日本ホールディングスが注目する5つのポイントは
1 減価償却方法の一本化
平成28年4月1日以降に取得した償却資産のうち、今まで定率法を採用することができた建物附属設備・構築物の償却方法を定額法に一本化されることになりました。
これは国の法人課税における「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げる」政策の一環として行われ、法人の保有する償却資産だけでなく、個人が保有する事業用の償却資産に対しても適用されます。
詳しくは⇒「平成28年度税制改正 減価償却制度見直しの影響を考察」
2 消費税の軽減税率制度の導入
消費税は平成29年(2017年)4月から10%に引き上げられる予定となっています。今回の税制改正大綱では、この消費税引き上げと同時に軽減税率制度を導入することが盛り込まれています。
そしてその対象品目は、①酒類及び外食を除く飲食料品、②新聞の定期購読料となっています。
その目的は、Ⅰ.景気への影響を最小限に留める、Ⅱ.消費税のもつ「逆進性」や「痛税感」を緩和するとされています。
今後は、対象品目の線引きが問題となり、関係業界団体等の活動が活発化するものと思われます。
3 国税のクレジットカード納付制度の創設
あまり注目されていませんが、今回の大綱では所得税などの国税をクレジットカードで納付するクレジット決済が可能となるよう環境を整備し、平成29年1月4日からスタートすることを決めました。
従来の国税の納付方法は①税務署等の窓口で直接納付 ②口座振替 ③納付書がある場合はコンビニや金融機関での納付でしたが、これにインターネットを利用したクレジット納付が加わることになります。
ただ、カード会社への手数料の負担者やクレジット会社のポイントサービスの有無などの細かい点はこれから決まって行きますので、引き続き少しだけ注目して行きましょう。
4 空き家譲渡の特別控除
相続により生じた空き家であって旧耐震基準しか満たしていないものに関し、相続人が必要な耐震改修又は除却を行った上で家屋又は土地を売却した場合の譲渡所得について特別控除(3,000万円)を導入することになりました。これは空き家の解消を促進する目的で導入されるものです。
もともと相続財産に関して、取得時の価格がわからなくなっていることも多く、この場合は売却価格の5%を取得価格とされてしまい、多額の譲渡所得が生じてしまうという問題点がありました。
おそらく今回の改正は、この点に関して空き家に関しては緩和する事で、流通を促進させる狙いがあるのではないでしょうか。
5 三世代同居リフォーム控除の導入
三世代同居に対応した住宅リフォームに関し、借入金を利用してリフォームを行った場合や自己資金でリフォームを行った場合の税額控除制度が導入されます。
住宅借入金等の年末残高の1~2%、自己資金の場合は標準的な工事費用相当額の10%の税額控除を受けられる制度です。
これは子育て世代の支援が目的です。実効性には疑問が残りますが、うまく対象となれば、お得であることは間違いありません。
まとめ
今回の税制改正大綱は、アベノミクスの政策を前提にした法人にやさしい改正という印象です。
また時代を反映して、消費税の軽減税率や空き家問題、子育て支援などを目的とした税制が目を引きます。
税金は知らないと損をすることも多く、誰も教えてくれません。 毎年のことですが、税制改正を把握しつつ、利用できるものはきっちり利用しましょう。